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2016.10.05更新

上顎に入れ歯を入れる患者様からよく頂くご質問です。

答えから言いますと、「始めは味覚や食感が鈍くなる方がいますが、入れ歯に慣れてくると味は変わらないという方が多いですね」です。

 

詳しく説明しますね。そもそも味というのは大部分は舌で感じるものです。たしかに上顎の粘膜(口蓋と言います)にも味覚のセンサーが多少ありますが、味覚としては微々たるものです。したがって、口蓋のみではほとんど味を感じることはできません。本当ですか?という方は、一度上顎の粘膜に塩をほんの少し指で置いてみてください。舌で触らない限り、味は感じないはずです。

それでは、上顎に入れ歯(総入れ歯)を入れると、味がわかりにくくなったという方がなぜ出てきてしまうのでしょうか。その原因はいくつかありますが、今回は1つだけ説明しますね。

上顎の入れ歯の口蓋と呼ばれる部分の影響です。

 先ほどもお話しましたが、味覚は舌で感じるものですが、上顎を総入れ歯などでご自分の口蓋を覆うと感覚が鈍り、違和感が生じて食感が変わる可能性があります。また、熱いお茶を口に入れて、熱いと感じる冷温覚も同じ理由で鈍ってしまいます。

そのため「入れ歯を入れると味を感じなくなった」というのは本来舌で感じる味覚は変化しないはずですが、触覚、冷温覚などが影響を受け、味覚に変化を与えているということが考えられます。

これらの影響を少なくするために、多くの歯科医院ではこの口蓋の部分を薄くし、異物感を減らすのと同時に冷温覚を少しでも感じ取るために金属床にしたりします。

金属床

たしかに金属だと薄くしても丈夫ですが、中には口蓋に金属があることに抵抗を持つ方もいます。

そのために、金属ではなくピンクのプラスチック素材(レジンと言います)を使用することもあります。しかし、保険の素材だと金属床レベルの薄さにすると割れてしまいます。だからと言って強度のために分厚くすると、患者様が辛くなってしまいます。

当院では患者様の快適性を考えて、金属床レベルに薄くできる特殊なレジン(イボカップ、イボベース)を使用しています。当院では総入れ歯の金属床を避けたい方には、このレジンをお勧めしています。普通のピンクの床に見えますが、品質が全く違います。かなり薄くそして丈夫に、そして重合精度も抜群に良いです。重合精度が良いので、だ液を吸いにくいため汚れや臭いがつきにくいのも特長です。

 質の高いレジン

ちなみにこのブログを書くにあたり、上顎総入れ歯を以前装着した患者様お2人に味の変化についてお話しを聞くことができましたが、味は変わらないですよ。という回答をお2人から頂きました。
味覚・食感・違和感などの感覚にはあくまでも個人差があると思いますが、入れ歯に慣れてきた多くの患者様にはこのようなご感想を頂いております。

以上までが、上顎の総入れ歯の内容です。 

 

では、部分入れ歯ではどうでしょうか。
例えば、奥歯がない患者様には一般的に床を口蓋をつけない形(馬の蹄に似ていることから、馬蹄形と言います)を設計することが多いようです。
こんな感じです。

口蓋をくり抜いた部分入れ歯

一見、口蓋をくり抜いているので、味覚に影響が出にくい、違和感が少なそうな感じを受けるかもしれません。もちろん、このような形が適している患者様もいらっしゃいますが、当院ではこの馬蹄形以外にご提案している形があります。
なぜ他のご提案をするのかというと、この馬蹄形にするとさまざまな影響が出る場合があるからです。
1つは、力の問題。2つは、違和感の問題です。
この上の絵の場合のように、両奥歯がない場合や片方の奥歯がない場合は、この馬蹄形では片方で噛む力が反対側の歯にそのまま力がかかります。
もちろん過度な力がかかると、入れ歯を支える残りの歯にダメージが加わります。また、前歯にも床が沿っていますので、前歯にも力がかかってしまいます。
また違和感というのは、このくり抜いた辺縁の部分が舌に常時当たるので、気になってしまうことから出てしまいます。患者様によっては、発音がしにくくなったという方もいらっしゃいます。
では、当院ではどうしているかというと、
シュパルテ

こんな感じです。これはシュパルテと言います。歯科医師でも聞いたことがある方は少ないと思いますが、ヨーロッパで行なわれている床の形態(Dr.Shleich考案)です。
「こんな形、逆に気になるんじゃないですか?」とお怒りの声が聞こえてきそうですが(笑)、実際の患者様にこの形を口に入れて頂くと非常に楽ということです。

※こちらをご参考にしてください→患者様の声『味が変わることなく、硬いものも頂けるようになりました』

その理由は安静時、舌が位置する上顎の前歯の裏側はくりぬかれているので、床に舌が当たらず、ご自分の口蓋を舌で触れていることができるからです。
また、この形の辺縁は口蓋前方部にある口蓋雛壁と呼ばれるヒダヒダの形を模倣していますので、境目を舌で触れてもほとんど気になりません。
そして、何より片側に力がかかっても真ん中の喉に伸びた部分で力を吸収してくれますので、反対側に伝わる力は軽減されます。
このように力学的、生理学的なことも考えた入れ歯の設計が患者様の快適性につながってきます。

これから上顎の入れ歯をご検討されている方はご参考にされてくださいね。

 

 

 まとめますと、『上顎の入れ歯を入れることで、味覚は変わるのですか?』という質問に対しては、

「入れ歯に慣れてくるとほとんど味は変わらないという方が多いですが、食感が落ちないように、違和感を減らせるように、入れ歯の材質や設計が重要なので◯◯さんに合った入れ歯にしましょうね」です。

 

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投稿者: 小西歯科クリニック